あらすじ
昔、荒坂という村に、国の重宝である「しゃくやくの壺」と「おしゃもじの鉢」を預かる長者が住んでいました。ある日、長者の娘が宝物を見ようと壺を開けると、中からは美しい姫が現れました。姫は「自分は中国の天子の子で、壺に閉じ込められていた」と語りました。
長者は姫を大切にし、娘のように育てました。しかし、ある時、天子が姫を迎えにやってきました。長者は壺と鉢を天子に返しましたが、姫と離れるのが悲しくなりました。すると、姫は「この鉢で粥を作れば、私は帰りたくなったら鉢の中から声をかけます」と言い残して去っていきました。
その後
それから数年後、長者は貧乏になってしまいました。ある日、長者が鉢で粥を作っていると、中から姫の声が聞こえました。「おとうさま、私は帰りたくなりました。おしゃもじを飲み込んでください」
長者は言われた通りにおしゃもじを飲み込みました。すると、姫が鉢の中から現れました。姫は長者の貧乏を治し、再び天に帰っていきました。
教訓
この話は、以下の教訓を伝えています。
- 大切なものは大切に扱うべきである。
- たとえ貧困に陥っても、あきらめてはいけない。
- 恩義は忘れない。
登場人物
- 荒坂長者: 宝物「しゃくやくの壺」と「おしゃもじの鉢」を預かる長者
- 長者の娘: 宝物を開けて姫を解放した
- 中国の姫: 壺に閉じ込められていた
- 天子: 姫の父
舞台
- 荒坂村
時系列
- 長者が宝物を受け取る
- 姫が壺から解放される
- 天子が姫を迎えに来る
- 長者が貧乏になる
- 姫が鉢の中から声をかけ、長者の貧乏を治す
備考
- この話は、中国の「孟姜女」という伝説がもとになっていると言われています。
- 「しゃくやくの壺」は、長寿や不老不死の薬が入っていると信じられていたと言われています。
- 「おしゃもじの鉢」は、無限に粥が出る不思議な鉢と言われています。